4月8日から10日の3日間に渡り、コペルニクメンバーが年に一度、一堂に会する年次総会(Annual Gathering)がありました。
コペルニク・ジャパンのメンバーも本部のあるインドネシアバリ島へ渡航して参加してきました。本レポートでは、当日の内容をお伝えいたします。
今年の年次総会は、3日間それぞれにテーマが設定されており、1日目は「Looking Back(振り返り)」2日目は「Learning & Improving(学びと改善)」3日目は「Looking Ahead(未来にむけて)」と題して実施しました。
1日目:Looking Back(振り返り)
1日目は恒例の全体写真撮影から始まり、午前中は代表・中村俊裕からのコペルニクの歴史・ミッション・組織カルチャーについての共有、午後は「Deep Dive」として、各プロジェクトから詳細な取組の共有がありました。
ここでは簡単に各取り組みを紹介します。
インドネシアの電子廃棄物(e-waste)量は2024年時点で1,900ktと東南アジア最大規模に達しており、これに対して、「修理」を軸とした循環型エコシステムの構築を提案するのが「Bengkel Bumi」プロジェクトです。バリ島のウブドや北部での「修理センター」拠点の整備、職人の育成を通じて、壊れたら捨てるのではなく、地域内で修理して使い続ける自走的な仕組みのエコシステムを設計し、廃棄に依存しない社会を目指します。
次に、海藻由来の安価なバイオスティミュラント(植物活力剤)の開発・実証実験の取り組みの共有がありました。この取り組みでは、製造プロセスの簡略化に成功した一方で、予期せぬ技術的課題も見つかりました。引き続き検証を進め、コペルニクが取り組む海藻の活用とアグロフォレストリーの取り組みを繋いでいきます。
続いて、西ティモールにおける食と農の支援プログラム「PANGAN」の成果を報告。地域リーダーを核とした再生農業の普及や、コミュニティ農業センターを通じた流通教育を展開しています。動画やスタンドアップコメディ等のメディアを駆使した大規模な啓発活動による、地域社会の行動変容の取組も実施しています。
このセクションの最後には、コペルニクのジェンダーと社会変革プログラム「GenSet」における、インターセクショナリティ(交差性)と学びのアプローチの共有がありました。女性の更年期ケアといった健康課題への新たな取り組みや、大学との連携によるアジア圏向け奨学金プログラムの可能性など、多様な層を包摂する支援のあり方や新たなパートナーシップへの展望が広がりを見せています。
各プロジェクトを通して、コペルニクの取組の幅の広さを体現する一日となりました。
2日目:Learning & Improving(学びと改善)
Safe Guarding Polisyの共有に始まり、コペルニクからのスピンオフ起業を支援するNext CEOの取組のアップデートや、新たなNext CEOのアイデアのブレスト、午後には、Next CEOの取り組みの原点ともいえる、コペルニク発の社会派スタートアップ「Magi Farm」への訪問もありました。
Next CEOアップデートのセッションでは、コペルニクからの次のスピンオフ候補である、4名がそれぞれ10分のプレゼンテーションを行いました。
日本での展開に向けての取組も進めている、「Kopernik Harvest(K-Harvest)」。
K-Harvestは、インドネシアの農家の生計向上と環境保全の両立を目指し、コーヒー、カカオ、バニラ、海藻など、インドネシア各地の農産物について、生産者と直接連携しながら品質と流通の透明性(トレーサビリティ)を確保し、販売・流通を支援します。日本やインドネシアの各種企業様から既に多くの引き合いを頂き、様々な形での連携を進めています。
日本での展開に向けて、コペルニク・ジャパンではパートナーを募集しています。 ご関心のある方はお気軽にご連絡ください:japan@kopernik.info
「NOL」では、バリ産・インドネシア由来の原料を使った、アルコール0%のボタニカル蒸留飲料「DJIN」を開発しています。最終的なブランドや設備の構築、認証取得に向けて取り組んでいます。
「Loka Inspirasi Mandiri」は、零細女性起業家を支援する協同組合型の取り組みです。2026年7月のスピンオフを目指し、ロードマップを着実に進めています。
「IKLIM」は、音楽・文化・メディアを通じて気候アクションを広げる取り組みです。「気候変動をインドネシアの文化の一部に根づかせる」ことをビジョンに、「単発のキャンペーンから、持続する文化インフラへ」と歩みを進めます。
コペルニクでは、Next CEOの取り組みを推進し、更なるスピンオフ誕生を目指して取り組んでいきます。そこで今回は、代表中村のファシリテーションのもと、新規事業アイデア創出セッションを実施しました。
全メンバーが複数のチームに分かれてブレストを実施し、我々コペルニク・ジャパンのメンバーも一緒になって案を出し合いました。
各チームでは活発な議論が展開され、次々とアイデアが生まれ、最終的には共有プレゼンの時間が大幅に超過するほどの案が創出されました。各人の多様な取り組み・チャレンジを応援し、「こんなことができないか」「こんなアプローチもできるかもしれない」と、前のめりになって意見を出し合う時間は、今回のギャザリング全体を通じて、最もコペルニクの勢いと「らしさ」を感じるセッションとなりました。
夕方にはコペルニクのスピンオフの代表格ともいえる、Magi Farmへ訪問しました。
Magi Farmは、バリの埋め立て地で深刻化する有機廃棄物の課題に対し、食料廃棄物をアメリカミズアブの幼虫に食べさせることでタンパク質に転換し、飼料などに循環する取り組みを行っています。ホテルや家庭から出る食品廃棄物を効率的に分解し、メタンガス抑制と資源循環を両立するビジネスモデルを確立しています。代表のImaからは直接、2026年に向けた事業拡大と、都市の廃棄物インフラとしての展望を聞くことができました。
3日目:Looking Ahead(未来にむけて)
イベント最終日となる3日目は、コペルニク内においてAI活用を推進する、AIイネーブラーチームによる実践セッションで幕をあけました。
このセッションの冒頭には、コペルニク・ジャパンのメンバーより、日本国内の国際協力団体のAI活用の実態やユースケースの共有を行いました。これは、令和7年度外務省NGO研究会「国際協力活動におけるAI活用を通した支援の質と実施能力向上の研究」において実施した調査の結果をまとめたものです。後半は、スタッフ全員が実際にAIツールを操作・機能を試し、各ツールを比較しながらフィードバックを出し合うという参加型セッションが実施されました。
NGO研究会の調査レポートはこちら:
令和7年度外務省NGO研究会 「国際協力活動におけるAI活用を通した支援の質と実施能力向上の研究」最終報告書(ODA) NGO研究会報告書 | 外務省
午後からはお楽しみの時間です。全チームが腕を振るい、K-Harvestで取り扱っている農産物を活用しながら各地域の料理を紹介する料理コンペティションが開催されました。
コペルニク・ジャパンからは、法被姿で流しそうめんを提供、インドネシアメンバーからも喜んでもらうことができました。現在、外務省の「日本NGO連携無償資金協力」の資金供与のもと「パプア州における海藻産業育成を通じた小規模漁業者の収入向上と生活安定支援」事業において、海藻生産支援に取り組んでいることにちなみ、海藻を練りこんだ海藻麺や、海藻サラダ等、インドネシアでは日常的には食されない海藻を取り入れたレシピの提案や、普段フルーツとして食べているアボカドも醤油とわさびで提供するなど、新たな食のアイデアを提案できたのではと思います。
夕方からは有志スタッフによって結成されたバンドで盛り上がり、最後は現地のダンスを一緒に踊り、交流を深めました。
おわりに
普段オンラインでしか会わない仲間と、実際に顔を突き合わせて、現場の取り組みやその先の展開・インパクトについて語り、背景にある各メンバーの思いやストーリーについても知ることのできる非常に貴重な機会となりました。
コペルニクでは、K-Harvestをはじめとする取り組みを日本の皆さんにもお届けし、社会や環境が直面する課題に対してより大きなインパクトを発揮できるよう、一層励んでまいります。引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
コペルニクについてのお問い合わせ・K-Harvestへのご関心はこちらまで:japan@kopernik.info